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2009-12-03

2009/11/14「鉢形オフレポート」

個人的には五回目の鉢形ですが、何せ最後に来たのが四年前ですから、かなり新鮮でした。最初に来た時(2003初頭)は整備前だったので、その変貌ぶりには感慨深いものがあります。
さて、四十人という大人数なので、二班に分かれて見て回ることになりました。今回はボランティア・ガイドさんにご案内いただけるので、ガイド役の私は随分と気が楽です。私は第一班を担当しました。まず、歴史館を出発し、長い外曲輪の線を歩き、馬出を経て搦手突端部の笹曲輪に至りました。そこから主郭である御殿曲輪、御殿下曲輪、二曲輪、秩父曲輪という順序で見て回り、逸見曲輪を右手に見つつ、歴史館に戻りました。大手と諏方神社(馬出)は雨が激しくなったため、省略となりましたが、雨が上がった帰りがけに見てきたので、これでほとんど見学したことになります。
鉢形城の基本的なことを説明しているサイトは多いので、ここでは、当日に受けたご質問に対するお答えだけを記します。

「鉢形城は誰が築いたの?」
この城の原型は、長尾景春が築いたと思って間違いないと思われます。というのも、その原型が長尾氏の本拠白井城に求められるからです(よく似ています)。すなわち、河岸段丘上にある段差を利用し、平場を作り、陸続きの場所を掘り切ることで、それぞれの曲輪に独立性を持たせるという縄張り手法で、これは長尾氏系城郭に多い築城術なのです。長尾一族の影響力の強い秩父の諏訪・宮崎・永田などの諸城にこの手法が多く取り入れられています。

「なぜ景春クンは、ここに城を築いたの?」
 鉢形の地は秩父への入口にあたり、山内上杉家の本拠平井城と扇谷上杉の本拠河越城のほぼ中間地点に位置していました。すなわち、敵方である両城を完全に分断して連絡を絶つ戦略要地にあたります。しかも、もしも敗れた場合は、秩父山中へ逃亡できるという逃走経路も確保されています。さらに、上杉方の対古河公方最前線である五十子陣にも一日の行程のため、背後牽制にも最適です。氏邦クンが継続使用したのは、鎌倉街道上道と秩父往還が交錯する交通要地”結節点”だからです。

「長尾景春の時代の鉢形城の城域はどこまでなの?」
長尾景春使用時の城域は、従来、御殿曲輪だけと言われてきましたが、地形上、御殿下曲輪と笹曲輪も使われていたはずです。「遮断」という城にとって重要な概念からすると、荒川と深沢川の合流点となる北端の笹曲輪と、深沢川が遮断する東側の御殿下曲輪を使うのは、普請力が不十分な戦国前期においては、至極、当然だからです。しかも「道灌状」などによると、少なく見積もっても二千五百ほどの兵が集結しており、御殿曲輪だけでは、いくらなんでも手狭でしょう。

「氏邦クン時代の本曲輪はどこなの?」
 定説では、景春時代の本曲輪である御殿曲輪が使われてきたかのように言われていますが、秩父曲輪だと私は思います。理由は最高所にあること、荒川に面した最も奥まった場所にあること、虎口二箇所(金蔵と諏方神社)に堅固な馬出が備えられていること、泉水のある庭園跡が発掘されている等です。あまりに広いので、氏邦クンのプライベートエリアも兼ねていたかも知れませんが―。この辺は、八王子城の御主殿曲輪と張り合っていたかのように見えて、微笑ましいです。
 となると大手口から近すぎるという難点が出てきてしまいます。確実なことは言えませんが、大手口は別のところだったのかも知れません。例えば、外曲輪の土塁が喰い違っていた場所から、深沢川を渡り、真ん中の馬出を経て、御殿下曲輪と二曲輪の間を通らせるとか。これだと、二曲輪と秩父曲輪の馬出(金蔵)も生きてきます。

 ということで、懇親会は東松山のやきとり屋となりました。いつものことながら、盛り上がりました。「伊東さんの作品は色っぽい女が描けていない」というご指摘もあり、たいへん反省しました(笑)。
帰りの電車でトイレに行かないように、ビールを控えてホッピーにしていたのですが、やはり池袋は遠く、朝霞台でトイレ下車しました。おかげで、予定より一時間も帰宅が遅くなってしまいました。

写真は、外曲輪土塁と横堀、鉢形城二曲輪と秩父曲輪の馬出、鉢形城から花園城方面を臨む、鉢形城二曲輪と秩父曲輪の堀
鉢形縮小1
鉢形縮小2
鉢形縮小3

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