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2010-01-23

ストーリーづくりの秘訣

時の経つのは早いもので、ブログをアップできずに一週間が過ぎてしまいました。まさに「光陰矢のごとし」ですね。
さて、前回は、「読みやすい文章」とは何かについて論じましたので、今回はストーリーをいかに作るかについて語りましょ う。
多くのエンタメ系作家が最も苦労するのがストーリー作りではないでしょうか。また、プロの小説家になるために最も必要な能力でもあります。小説執筆能力のクルマの両輪である文章表現力が精進により身に付くのとは対照的に、このストーリー・テラーのスキルを自らのものとすることは容易ではありません。
 もし、あなたがプロのエンタメ系作家を目指しているなら、まずは自らにストーリー・テリング力がどれほどあるのかを、客観的に掴む必要があります。誰しも三作くらいまでなら、思いつきで巧緻なストーリーを構築できることもあります。それゆえ大半の若手作家は、自分のストーリー・テリング力について客観的に評価せず、「出たとこ勝負だ!」とばかりにプロとなり、行き詰ってしまいます。そうならないためには、デビュー前に十分な修練が必要です。
それには一つの方法しかありません。
できるだけ若いうちに多くの本を読み、多くの映画を観ることです。さらに、その構成や布石・伏線を反芻してみることも必要です。そうしておけば、その本や映画のことをすっかり忘れてしまっても、記憶の底の沈殿効果により、数十年後に海面に引き上げることができるのです。「それも才能」と言ってしまえばそれまでですが、全体の構造を俯瞰的に捉えることを繰り返すうちに、誰でも必ず身に付くものと信じます。
それでわかったのは「作家はいかに部品の引き出しを多く持っているか」ということです。引き出しから部品を取り出して、アッセンブリー(組み立て)ないしはエンベッド(埋め込む)する能力が、ストーリー・テリング力というわけです。
むろん、若くして絶妙のストーリー・テリング力を発揮する作家もいます。ただ、よく気をつけていればわかるのですが、部品棚の数が少ないので、必ずと言っていいほどパターン化を起こしています。それをうまく糊塗するのも技術なのですが、熟練した読み手を何冊もごまかすことは困難でしょう。つまり飽きられるわけです。
ですからエンタメ系作家は、デビューを焦らないことが大切です。二十代は蓄積の時間と割り切り、余暇時間を読書と映画鑑賞だけに費やしてもいいくらいだと、私は思っています。若い時期の蓄積が、必ずや年を取ってから実ってくるのです。
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伊東潤

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