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2010-02-24

生存率2%の荒野へ

まずはこちらをお読み下さい。

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あの人は今こうしている 森雅裕さん (ゲンダイネット)
 西村京太郎、森村誠一、真保裕一、桐野夏生……。新人推理作家の登竜門、江戸川乱歩賞を受賞した面々である。いずれもすでに一家を成しているが、85年は東野圭吾ともうひとりの新人がダブル受賞した。「モーツァルトは子守唄を歌わない」が評価された森雅裕さんだ。しかし、最近はまったく新作を発表していない。今どうしているのか。


●1カ月5万円の家賃を100万円滞納し友人に500万から600万円の借金が

 46歳までは作家として何とかやってきたけど、乱歩賞をもらってからの数年、何百万円かの年収があっただけで、それ以降は200万円にも届かない、年収百数十万円がやっとでした。

 新刊は年に1冊か2冊のペースで出してました。でも、編集者からの依頼がだんだん減ってきて、最後は完全に干されてるって感じでしたね。自分は生きるか死ぬかの思いで書いてるのに、原稿に勝手に手をいれ、タイトルまで変えてしまう。それに対してこっちが訂正を求めるってかたちで、担当編集者とぶつかることがけっこうあった。で、アイツは生意気だってなり、それが業界に広まったんじゃないかと推測してます。まあ、本が売れなかったのが一番の理由かもしれませんが。

 99年に本を出してからはコンビニでバイトをやった08年3月から09年4月までの期間を除いて、確定申告は数万円ですね。1カ月5万円の家賃を100万円滞納して、知り合いに500万から600万円の借金が今でも残ってるけど、振り返ってみると、光熱費だって月2、3万円くらいはかかるし、当然食費もある。それをいったいどうやって稼いできたのか。ある新聞社にいる友人から書評の仕事が回ってきて、毎月でないにしても月5万円、それが5年続いたのはすごく助かりました。でも、ずっと貧乏にあえいでた記憶ばかりで、他にどんな仕事をしたのか、よく覚えてないんです。

 最も苦しかったのは一昨年の2月。ほとんど無一文になり、もう死ぬしかないって気持ちで、高田馬場駅のホームに立ちました。よっぽどただならぬ様子だったんでしょう。駅員の方に声をかけられ、その場を離れることになりましたけど。あと、その直後にコンビニのバイトに採用され、どうにか最悪の状況は脱しました。

 コンビニでは1年間、毎月12、13万円の収入がありました。そこから10万円をたまった家賃の払いにあて、残りは2、3万円。これも光熱費に消える。では、どうやって食べていたのか。ホント不思議ですねえ。

 コンビニでの1年間でさまざまな人間と関わり、それを「高砂コンビニ奮闘記」(成甲書房)って本にまとめて、先月出版しました。これ、21世紀になって出した初めての本です。

 今は本の印税を前借りしたから、経済的な苦しさはさほど感じてません。だけど、2、3カ月先のことはまったくわからない。このトシで新しい働き口を見つけるのはほぼ絶望的で、将来のことを考えると不安でたまらなくなります。

(日刊ゲンダイ2010年2月16日掲載)

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 これが作家の現実というもの―。
 ドラフト一位で入団しても、ほとんど活躍できずに球界を去っていく選手がいるのと同様に、偶然、大きな賞を受賞したものの、その後、伸び悩み―、という話はけっして珍しいものではありません。森村誠一(以下敬称略)の『作家とは何か』によると、大賞受賞後の生存率は2%以下―。
 あるレクチャー本には「メジャーデビューするのはそれほど困難ではないが、その地位を維持するのは容易なことではない」とありました。
この世界は、音楽、絵画、スポーツとは違い、子供の頃からのトレーニングなしでも容易に踏み込めるため、競争の激しさが半端ではないからです。
ただし、一流作家やベストセラー作家は、ただいい物を書くだけでなく、時代の波を捉えた周到な戦略が存在します。
 わかりやすい例で言えば、北方謙三、大沢在昌らは、純文学で鍛えた文体を駆使し、ハードボイルドに移行して成功を手にしました。北方氏はさらに南北朝もの歴史小説や中国ものまで手を広げ、いまだ固定読者層の増殖を続けています。
 むろん、R・Wのように、純文で百万部を飛ばすメガヒットを飛ばしながら、エンタメに移行したとたん売れなくなったという失敗例もあります(彼女は若い上に美人なので必ず復活すると思いますが)。
 東野圭吾は大人向け本格ミステリーで出発し、いったん最も多くの購買層がいる青春ミステリーにシフトし、加速度がついたところで大人向けに戻りました。
 宮部みゆきは、固定読者層が先細る前に積極的に他ジャンルに進出し、他ジャンルの読者の刈り取りに成功しました。
 成功の鍵は、いかに多くの固定読者層をキープできるかにあります。
 運や偶然もあるのかもしれませんが、こうした戦略があってこそ、一流作家足りえるのですね。
 作家には、ただ良作を繰り出すだけでは生き残れない厳しい荒野が待っているのです。
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伊東潤

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