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2010-10-17

作家稼業の現実Ⅱ(敬称略)

不況が長引き、読者の可処分所得が減り、財布を気にせずハードカバー小説を平気で買える層は十万人を切ったと言われています。まさに少ないパイの取り合いとなるゼロサム社会です。
メガヒット作家のベルトを掴んで引きずりおろしても、自らが成り代わるという気概がなければ、この業界を生き抜くことは困難なのです。
 しかし、中堅作家の領域に入ったらそれも不可能です。中堅作家は、減っていく固定読者数を眺めながらジリ貧になるしかないのです。それが嘘だと思うなら、ここ数年、苦節十年とかでベストセラー作家になった人がいますか。いないはずです。海堂・道尾・湊・沖方・和田竜・森見らはデビューと同時に億万長者になっています。
作家は、デビューから五年でいかに高度を稼ぐかが勝負なのです。もちろんそのファースト・ステージに生き残っても、合格点ギリギリの作家は、まず間違いなく次の五年で墜落となるのです。そして十年、十五年とそれが繰り返されます。死ぬまで絶対安全圏にいる作家は五十人ほどではないでしょうか(五木・佐々木譲・森村・北村・島田・津本・宮城谷ら)。別にこの人たちは「ゴールが近いから」なんて言っていませんよ(笑)。
要するに、平成に生きる作家には億万長者か貧乏農場しかないのです。しかも五年で貧乏農場から脱出できない限り、死ぬまでそこにいるしかないのです。
それゆえ私は、魂を削るほどの思いで書いています。自分は「選ばれたる者で幸運がめぐってくる」なんて欠片も思いません。神仏やパワースポットなんてものも信じません(というか頼りにしません)。戦車のように前進を止めないことだけが勝利を呼び込めるのです。
私の場合、何がしかの新人賞を取って華々しいデビューが飾れなかったわけですから、力攻めで犠牲も顧みずに城を落とす以外、生き残る方法はないというわけです(笑)。
 一作一作、渾身の力を込め、自分の培ってきた経験とそこから得た理念や法則、自分の持っている才能、情熱、愛情すべてを搾り尽くして、作品を岩塊から掘り出す作業を繰り返すだけです。
 私はこのくらいの覚悟で書いています。若者から見れば、さぞや格好悪いオヤジでしょうが、これがDead or Aliveを懸けた作家の現実なのです。
それでもあなたは、作家になりたいですか。
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プロフィール

伊東潤

Author:伊東潤
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『巨鯨の海』
『王になろうとした男』
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『池田屋乱刃』
『死んでたまるか』
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