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2011-01-05

2011年頭のご挨拶

未曽有の出版不況と電子書籍という新たなメディアの流入により、激変期を迎える出版業界ですが、今年も、その流れは続くと思われます。ただし、電子書籍のコンテンツは限られており、その広がりはまだ限定的と見られます。いずれにしても、電子書籍が出版不況を打開する起爆剤となれば、これ以上のことはありません(一時的なブームで終息することはないでしょう)。
また昨年は、水嶋ヒロ氏の大成功により、芸能人の出版業界進出はさらに活発となり、「作家になりたければ、まずはテレビなどのメディアで顔を売る」という成功の方程式が確立される年となるでしょう。芸能人本ではなく、堂々たる作家として大賞を受賞させ、デビューさせるというビジネスモデルを確立したポプラ社の手腕は、見事としか言いようがありません。しかし水嶋氏の技量云々よりも、その作品傾向そのものが、プロ作家としての継続性を保証するものではないので、二匹目のどじょうがいるかどうかはわかりません。
タレントならずとも、池上彰氏の成功に見られるように、本を売るためには、「まず顔を売ること」が優先される傾向は、いっそう強くなると思われます。メディアで顔さえ売ってしまえば、作家どころか政治家にもなれる世の中です。スティーヴン・キングが二十年前に『The Running Man』で予言した、テレビ・メディアによる民衆の支配は、まず日本から始まることになるでしょう。
こうした「目立った者勝ち」のトレンドの是非を問うつもりはありませんが、日本文化の現状を象徴する出来事であることだけは、銘記すべきだと思われます。
さらに今年も、アニメやゲーム文化がメイン・ストリームを形成する流れは変わらず、活字文化がニッチやサブカルに追いやられる風潮は、さらに進むと思われます。これはひとえに、現状肯定的な若者文化が、三十代以上にまで蔓延した結果であり、古典文学や純文学がスロー・デスしてゆく流れに、依然として歯止めは掛けられないことでしょう。「ゆとり学習」の代償を、日本人全員が払わねばならない時が、いよいよ来たのです。
こうした「日本文化の衰弱死」を目前にし、わたしたち作家のできることは、良質で健全な作品を世に送り出していくことしかありません。それこそが、美しき日本文化を後世に伝えていくことにつながると、私は信じています。
読者の皆様方におかれましては、今年もご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
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伊東潤

Author:伊東潤
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『巨鯨の海』
『王になろうとした男』
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『野望の憑依者』
『池田屋乱刃』
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