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2011-06-09

北条氏好きと言われても

最近、「ブログを読んでいる」というメールをよくいただくので、うれしくなってしまい、よく書くようになりました。プロにあるまじき行為なのですが(笑)。
さて、「戦国関東、とくに北条氏物はもう書かない」という宣言に対して、複数の方から「寂しい」というメールをいただきました。
ありがとうございます。
逆に書きすぎた感があるくらいですが、デビュー初期の陣所造りとしては、このくらいは必要でしょう。
とくにシリーズを持ちにくい歴史作家の場合、時代と地域をマトリクスにして、誰にも負けない分野を持つことは必須です。
デビュー初期とは限りませんが、黒岩重吾氏の古代、永井路子氏の鎌倉、北方謙三氏の室町、山崎豊子氏の大坂船場、古川薫氏の長州、高橋克彦氏の東北、佐々木譲氏の箱館戦争、船戸与一氏の満州帝国、荒山徹氏の朝鮮半島などなど、枚挙に暇がありません。
私の場合、戦国関東と北条氏が空いていたので、「この席、空いていますか」ということで、座った次第です(笑)。
ということで、とくに最近、「北条氏が好きな作家」などとネットで言われることが多く、苦笑いなのですが、プロは好きなだけで題材を選びません。申し訳ないですが、それが一般の歴史ファンと違うところです。そりゃ、嫌いじゃないですけど(笑)、いろいろ思惑があるわけです。
まあ、本音を漏らしてしまえば、大河とかに原作をお使いいただければいいなと思っているのが一つ(御館の乱~武田家滅亡~北条家滅亡までとか)。
大河の原作本に使われるためには、少なくとも、その分野の第一人者と認知されなければなりません。
また、舞台裏を明かしてしまえば、慣れ親しんだ題材だと、一から史料を探すところから始める労力が削減できるので、効率化が図れるのが一つ。ほかの大家の皆さんもそうでしょうが、忙しくなると、これは助かります。資料代も節約できるし。
と言いつつも、これからは単発でどんどん新たな題材を掘り起こしていくつもりです。つまり、新たな題材に取り組むことが苦にならなくなったのです。これは、ほかの分野の仕事術と同じで、経験を積み、仕事に熟練したということですね。

さて話は「好き嫌い」に戻りますが、まさか作家が、自らの主張を作品に盛り込んでいると思っている方は少ないはずです(そういうケースもありますが)。あくまで小説ですから、主役の立場(視点)で書くのは当たり前です。これは作劇の基本です。
それを八方受け狙いで、例えば、景勝や与六も美しく描こうとすると、グリップのない(ぐっとこない、共感できない)小説になってしまうのです。
悪は悪として描くことが作劇術の基本なのです(実際そうだし)。
むろん多視点群像劇は別です。だから『武田家滅亡』では、登場人物すべてに共感できるようにしました。
こうした小説やドラマの作劇術の基本をご理解の方が大半だと信じたいのですが、いかがでしょうか。
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伊東潤

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『王になろうとした男』
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