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2011-12-17

今年の総括【第四回】『黒南風の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』

黒南風の海(帯つき)

『黒南風の海』は、私が関東平野を離れ、海外雄飛した記念すべき作品です。
おかげさまで、この作品で「オール讀物」主催の第一回「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞しました。
私にとって初めての文学賞ということもあり、記念すべき作品となりました。
今後、受賞歴のトップには、常にこの作品が来るというわけです。
むろん受賞歴がこれだけで終わらないようがんばります(笑)。
ただし受賞決定までには、接戦の連続であったことも確かで、いかに受賞したとはいえ、ほかの候補作に圧勝できなかったのは反省材料です。
まだまだ精進が足らないことを覚りました。
いずれにしても、ボコられながらも「東洋太平洋」とか「メキシコ・カリブ・中南米」といった地域(ジャンル)タイトルを獲得したので(笑)、世界タイトル挑戦も視野に入ってきました。
この作品は、戦争によって運命を変えられた二人の男の物語です。
主役の二人は歴史上の実在人物で、李氏朝鮮軍に降伏し、「降和」と呼ばれることになった日本人の沙也可と、逆に日本軍に捕えられて、不本意ながら日本軍のために働くことになり、「附逆」と呼ばれることになった朝鮮人の金官です。
沙也可は加藤清正軍の兵士として海を渡り、金官は朝鮮王子に仕える勘定方でした。
隣国の人間同士でありながら、なぜ分かりあえないのか――。
この想いを胸に、沙也可と金官は、この無益な戦いを終わらせるべく奮闘します。
むろんこうした人間ドラマだけでなく、明・朝鮮連合軍との異種格闘技戦を思わせる合戦シーンも満載です。
畳みかけるような疾風怒濤の展開は、ラストの蔚山城攻防戦まで息もつかせません。
神奈川新聞の書評に、私の言いたいことがそのまま書いてありましたので、最後にそれを引用したいと思います。
著者は二人の生きざまを通して「生まれた国や土地などどうでもいいじゃないか。この大地に生をうけた者はこの大地に恩返しすればよい」と訴える。大震災に見舞われた日本について「世界の人々は地球の同胞として日本を心配してくれた。今こそ国家、民族という垣根を取り払い、人類として団結すべきだ」との暗喩も込めている。
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