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2013-03-24

直木賞待ち会での趣向

文学賞には待ち会というものが付きものです。
これは受賞者が発表されるまで、候補者が記者会見場(芥川賞と直木賞の場合は東京會舘、吉川賞の場合は帝国ホテル)近くに控えていなければならないため行われます。
むろん待ち会は候補者ごとに別々に開かれ、それぞれ一緒にいるのは出版各社の編集さんです。
これがこの業界の面白いところで、競合各社が一丸となって、担当する候補者を応援してくれるというわけです。
候補者は、受賞者になる可能性があるので、たいてい酒は飲みませんが、編集の方々は先に飲んでいます。これが、いかにも城めぐりオフのドライバー気分です(笑)。
待ち会には様々な趣向がありますが、ある料理の上手な女性作家の場合、キッチンスタジオを借りて、お好み焼きを手ずから焼いて振る舞い、日頃の編集の方々の労をねぎらうということをやっています。
昔は、三味線を弾きつつ得意の喉を聞かせた候補者もいたようです。
私のように何の芸もない者は、トークで笑わせるくらいしかできないのですが、何らかの形で盛り上げねばいけません。
そのため今回は、鉢巻を作りました。
私が巻いたのは、子供が体育祭で使った「必勝」の鉢巻。
締めたとたんに、なぜか気合が入るから不思議です。
それだけでは盛り上がりに欠けるので、編集の方々にも、私の手作り鉢巻を締めてもらいました。
「えー」とか言いつつ、皆、恥ずかしげにしているのを尻目に、文藝春秋の女性編集が「皆さん、締めましょう」と率先して締めてくれました。
鉢巻の文字は、それぞれの会社から出した、または出す予定の作品にちなんだものにしました。
講談社は『叛鬼』の長尾景春にちなんで「九転十起」の鉢巻。これは私の母校である浅野高校・中学の創設者である浅野総一郎翁の「七転び八起きどころか、俺の人生は九転び十起だった」という言葉から取っています。でも実際は「九転十起」にならないように、さっさと取りたかったのですが(苦笑)。
PHP研究所は『北条氏照 秀吉に挑んだ男』にちなんで「如意成就」の鉢巻。これは、実際に氏照が印判に使っていた文字で、「思った通りにしてみせるぜ」という強気の武闘派らしいお言葉。色紙などに何か言葉を書く場合、常に私が使っている言葉でもあります。まさか「禄寿応穏」とは書けませんからね(笑)。
新潮社は『義烈千秋』にちなんで「素志貫徹」の鉢巻。幕末の攘夷志士集団・水戸天狗党の合言葉です。この四文字を見るだけで那珂湊から見た太平洋と、敦賀からみた日本海が思い出されてウルウルしてきます。男には、それがいかに困難でも、やり遂げねばならないことがあるのです。
文藝春秋は七月に出る『王になろうとした男』にちなんで「天下布武」の鉢巻。言わずと知れた信長の印判にある言葉です。
光文社は四月に出る『巨鯨の海』にちなんで「太地鯨組(たいじくじらぐみ)」の鉢巻。ここまでくると漁協のデモのようですが、とにかく威勢のいい言葉なら何でもいいと思って作りました。またスキンヘッドの担当編集さんが、漁協関係者そのもののルックスで、この日のベスト鉢巻ニストでした。
ちなみに太地に取材旅行に行った折、黒ずくめのシーシェパード集団を見かけたスキンヘッドの編集さんと、スポーツ刈りの私が、彼らを撮影しようとクルマを路肩に止めたところ、ハリーポッターのような顔をしたシェパードの連中が、立ち止まって顔を引きつらせていたのが懐かしく思い出されます(笑)。

ちなみに直木賞はだめでしたが、再び皆で鉢巻を締めた吉川新人賞は獲得できました。
やはり人生、気合ですね。

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プロフィール

伊東潤

Author:伊東潤
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【最近の作品】
『巨鯨の海』
『王になろうとした男』
『峠越え』
『天地雷動』
『野望の憑依者』
『池田屋乱刃』
『死んでたまるか』
ホームページ
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