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2013-03-09

第34回吉川英治文学新人賞 ブログ用受賞の言葉「吉川英治先生との縁(えにし)」

吉川英治先生

このたび伝統ある吉川英治文学新人賞をいただきました。
感無量です。
というのも吉川英治先生は私の地元である横浜の英雄であり、私も子供の頃から吉川先生の著作に親しんできたからです。
実は吉川先生の生まれた横浜市中区山元町は、私の生まれた石川町(現在も同地に居住)の隣町であり、徒歩で五分ほどの距離にあります。今でも週に二度ほど、山元町を通って根岸台公園に行き、ランニングをしています。
昨年、病没した母の姉は、吉川先生の葬儀に参列したことを後々まで語っていました。
かつての吉川家の菩提寺の娘さんとその旦那さんは、スポーツジム仲間であり、飲み友達です(吉川英治先生ご本人の墓は多摩霊園)。
それだけ私にとって、吉川先生は身近な存在でした。
私が中学生になった七十年代初頭、有隣堂関内店には、誰よりも大きな吉川先生のコーナーが設けられ、威風堂々と、あのクリーム色のカバーの講談社本が並んでいたものです。
しかも当時、『新・平家物語』が大河ドラマ化され、それにいたく感動した私は、中一の頃から吉川先生の作品を読み始めました。
もちろん最初に手に取ったのは、『新・平家物語』でした。おそらくそれが、初めての歴史小説だったと記憶しています。
吉川先生の著作は『宮本武蔵』『新書太閤記』『私本太平記』なども読みましたが、最も印象に残ったのが『三国志』と『新・水滸伝』です。その面白さに圧倒され、むさぼり読んだ記憶があります。
つまり私の人間形成は、吉川先生によってなされたといっても過言ではありません。
その後、司馬遼太郎先生や吉村昭先生の著作をよく読むようになり、大学に入った頃から、吉川先生の著作を読むこともなくなりましたが、吉川先生の流麗な文章によって綴られる歴史絵巻の数々は、今でも心に残っています。
そんなこともあり、この賞をいただいてから直木賞戦線に乗り出すことが私の目標でした。
ところが吉川英治文学新人賞は、直木賞を先に取ってしまうと新人の権利を失い、受賞できなくなるという決まりがあります。しかも半年に一回の直木賞とは違い、吉川英治文学新人賞は年に一回です。
それゆえ今回の受賞は、言葉では表せないほどの喜びでした。
これで心置きなく、直木賞に三度目の挑戦ができます。
生家が近いだけで、何かの因縁を感じるわけではありませんが、これも吉川先生のお導きのような気がしてなりません。
私などは、まだまだ吉川先生の足元にも及びませんが、吉川先生の衣鉢を継ぎ、歴史小説の面白さを次の世代に伝えていきたいと思っております。
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伊東潤

Author:伊東潤
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