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2013-04-19

本日、『巨鯨の海』が光文社より発売されます。

『巨鯨の海』帯なしカバー大

この作品は六つの短編から成る連作短編集です。描かれた時代は江戸中期から明治初期にかけてで、すべて和歌山県の太地を舞台にしています。
太地と言えば古式捕鯨のメッカですが、死と隣り合わせで鯨を獲る古式捕鯨にまつわる人間模様を描いたのが、この作品です。
それぞれの短編は、二十から三十年ほど時代がずれており、登場人物もオーバーラップしません。つまり太地のクロニクル(年代記)だと思っていただいて結構です。
今から二十数年前に津本陽先生の『深重の海』を読み、その世界観に魅せられたのが、そもそも、古式捕鯨に興味を持った始まりですが、自らのコア・コンピタンスである合戦の躍動感を文字に落とす手腕を、別の分野でも発揮したいと思ったことが、直接の執筆動機です。
さらに古式捕鯨を調べていくうちに、その組織の厳しさや独自の価値観を知り、現代企業社会との写し鏡になると思いました。つまり和歌山県の太地という閉鎖社会で生きる人々と、現代の企業社会で生きる人々に共通するものを見つけたのです。
「現代の企業は開かれているのでは」とお思いの方も多いかもしれませんが、それは誤解です。日本の企業は独自の価値観に支配された閉鎖社会です。
現代の日本の企業と同じように、太地に生きる人々は独自の掟と価値観の中で生きており、現代の価値観からは異常と思えるものでも、彼らにとっては常識なのです。
こうしたテーマ性を別として、単なる人間ドラマとしても、この作品は十分に楽しんでいただけると自負しております。また荒れ狂う海の描写や捕鯨シーンには、とくに腕によりをかけましたので、その迫力に圧倒されること請け合いです。
ご一読いただければ「最新作が常に最高傑作」という約束を、今回も守ったとお分かりいただけると思います。
ちなみにこの作品は、抹香鯨が舟を噛み砕くシーンがあるので、当初、『舟を噛む』というタイトルにしたかったのですが、版元が「それだけは勘弁してくれ」ということで『巨鯨の海』としました。
とてもいいタイトルだと思うのですが、どうしてですかね(笑)。

ということで、カバーを取るとこんな感じ。デラックスな作りですね。

『巨鯨の海』内カバー

PS) 『虚けの舞』文庫版が、発売五日にして重版がかかりました。都心を中心にした書店様で品切れが相次いでおりますが、すぐに玉が回り始めると思いますので、ほかの人の本を買わずに、しばしお待ち下さい(爆)。

『虚けの舞』カバー帯付き

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伊東潤

Author:伊東潤
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『巨鯨の海』
『王になろうとした男』
『峠越え』
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