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2010-04-26

『戦国鬼譚 惨』いざ出陣!

本日、最終著者校を講談社に送り、『戦国鬼譚 惨』のすべての作業が終わりました。いつものことながら、一つの作品を世に送り出すのは、本当にたいへんです。書き始めたのは、かれこれ一年ほど前になりますので、それほど長く書き続けた作品ではありませんが、自らの代表作にすべく念入りに仕上げたこともあり、特に思い入れのある作品となりました。
 この作品を機に、さらなる飛躍を図ろうと心に期しております。
五月発売となりますので、くれぐれもよろしくお願いいたします。

 さて拙著も、最近はとみに読者のブログなどで取り上げられる機会が多くなり、エゴサーチのしがいがあります。しかも好意的なものばかりで、取り上げていただいた方々には、頭が下がる思いです。
ただ、一つだけ気がかりなことがあります。皆さん、かなりの頻度で「史実ではないと思うけど」「作者の想像だと思うが―」といったことを書かれています。
尤も、戦国期のことで確実に史実と言えるものは、大きな幹となる事件だけで、それにまつわる枝葉末節は、軍記物の記述や歴史研究家の考証に拠るものがほとんどです。つまり、絶対確実な史実など少ないのが現実です。
ただ前述のようなことを書くのなら、調べた上で書いてほしいと思うのも、作家としての本音です。というのも「それは史実なのに」「それはほぼ定説なのに」といったものまで、「史実ではないと思うけど」「作者の想像だと思うが―」とやられてしまうと、何のために綿密に史料をあたって小説化しているのか、わからなくなってしまうからです。
確かに世の中には、舞台だけ過去の時代を借り、想像力のみを駆使して小説を書く方々もいらっしゃいます。ほとんど調べずに筆の動きに任せて書いている大家もいる(いた)ことにはいます。それゆえ歴史小説を読んでいて、何が史実や定説だかわからなくなるという読者の困惑もわかります。
でも、そうした作家ばかりでないことも知っていただきたいのです。
「史実ではないと思うけど」「作者の想像だと思うが―」などと書きたい場合は、せめてネット上で結構ですから、調べてから書いていただきたいものです。
ということで『戦国鬼譚 惨』も、徹底して歴史の謎にメスを入れております。史実と定説を周到にトレースしながら、面白い作品に仕上げるという点では、前人未到の境地に達した作品になったと自負しております。
なお、そうした作風から逸脱し、存分に想像の翼を伸ばさせていただいた『幻海』も、六月に控えております。そちらは、版元の光文社により、画期的なプロモーション方法をとっていただけることになりました。その方法については、別の機会にお話したいと思います。
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No title

「戦国鬼譚 惨」楽しみですね!
えげつない題名ですけど、それだけに興味がわきます(笑)
題名からはどんな話か想像できませんが、期待してます!

<「史実ではないと思うけど」「作者の想像だと思うが―」などと書きたい場合は、せめてネット上で結構ですから、調べてから書いていただきたいものです
ということで、なんとなく思いついた、見るからに嘘っぽいと思った登場人物、「嶋之坊」についてネットで調べて見たところ、見事にヒット!!
「嶋之坊俊盛に嫁がせ本山修験の一大勢力を形勢していた」
「嶋之坊とは、八王子城が豊臣勢に攻められた際、僧兵として後北条氏に与した坊さんの名前だそうで」
など、驚きの結果でした。
これからは、軽々しく「史実ではないと思うけど~」とはいえません。

それでも、かなり気になるのが「辻弥兵衛」と「山内左衛門宗時」です。
辻は何者なのか?どのように果てたのか?どこまでの業績が本当なのか?
山内は本当にキリシタンになったのか?
など、謎は尽きません。

No title

小早川様

嶋之坊がネットに載っているとは驚きですね。
前川實先生の史料で知りました。
前川先生によると、"かすみの衆"もいたようです。
一次史料は不明ですが(笑)。

辻弥兵衛は親父の方は、割合と有名です。
息子の存在は謎ですか、最後に勝頼を襲撃すのが親父では、年齢的に無理がある(60-70歳)ので、息子が裏切ったことにしました。
山内左衛門宗時は実在ですが、キリシタンにはなっていません。
確か、討死にしたと思います。

No title

回答ありがとうございます。
わかってすっきりしました。

あと、辻に関してもう一つ質問です。
ある本に載っていた、天目山・田野での勝頼攻めの布陣に、勝頼を攻める側に「辻盛昌」という人がいたのですが、この人は何者なのでしょうか?

No title

「甲陽軍鑑」に載っている話です。
辻弥兵衛盛昌のプロフィールは、「武田家滅亡」の中でも紹介していますね。
要するに、従来、辻盛昌は一人と思われてきており、川中島でも活躍し、信玄のお気に入りにもかかわらず、最後には裏切ることになっていたのですが、その本人が最後に出てくると、年代的に合わないことになるので(七十歳前後)、息子ではないかと推察し、架空に近い人物を創り出したわけです。
とはいうものの、それが実際ではなかったかと思っています。
史実では、辻家は幕臣として残ります。
つまり、息子がいたとしても、あそこでは死ななかったというわけです。
プロフィール

伊東潤

Author:伊東潤
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